「とり除く」から、上手に「取り入れる」食生活へ 井上正子 著 文庫サイズ・48頁 まえがき —— 高コレステロール血症、心筋梗塞、がん、美肌に 食への健康志向が高まるなか、油はなにかと悪者扱いされがちです。
確かに、日本ではここ40年ほどの間に油脂の摂取量が急増し、それにともなって高脂質血症や高血圧、心臓病、ガンといった生活習慣病の罹患率がぐんと上昇しました。
ですから、油脂のとり方に十分配慮することが、健康を保つ重要な要であるのは間違いありません。
しかし、問題は「とりすぎる」点にあって、油脂自体は私たちの健康に欠かせない大切な栄養素です。
油脂は、まず生命活動を維持するエネルギー源として重要ですし、体を形づくっている約60兆の細胞膜を作ったり、ホルモンの材料になったり、脂溶性ビタミンを吸収するうえでも不可欠です。
油脂が不足すれば、体の根底から健康が損なわれ、病気に対する抵抗力が失われる他、肌もカサついて美容の面にもダメージが生じてきます。
油脂の良さを生かす最大のポイントは「適度にとる」こと。
厚生労働省は、1日に必要なエネルギーの20〜25%を油脂でとるよう推奨しています。
このうち、食品に含まれる脂肪は別として、調理に使う食用油は成人で1日20gの使用が目安となります。
そこで慎重に配慮したいのが「どの食用油を選ぶか」という点です。
最近はさまざまな食用油が登場しています。
それらはおのおの体の中での働きが大きく異なることから、どの油を選んで使っていくかは健康を左右する重大問題で、極端な話、寿命にまで関わってくる可能性があります。
そうしたことを踏まえて、私がいま注目しているのが、日本人になじみ深いお米を素材に作られた「こめ油(玄米油)」です。
油脂をとる場合、最も気になるのがコレステロールですが、米油はコレステロールを含んでいないばかりか、体内の余分なコレステロールを減らす効果が期待できます。
また、こめ油には、万病の元として知られる活性酸素をすみやかに消去する抗酸化成分も豊富に含まれています。
さらに、こめ油は国産原料で作られている安心度の高い油であり、料理をおいしくする名脇役でもあります。
例えば、天ぷらにこめ油を使うと、プロの料理人が揚げたようにサクッと仕上がり、素材の風味は倍増します。
しかも、口当たりが軽いので胃にもたれることはほとんどなく、調理中に“油酔い”しにくいのもうれしい利点です。
やはり、食事に用いる油である以上、いくら健康効果が高くても、風味に問題があれば長続きしません。
その点、体に良くて、安心で、おいしいという三拍子がそろったこめ油はとても貴重な存在です。
いま一般のご家庭にある食用油は、サラダ油とゴマ油、オリーブ油の3つが主流だと思います。
そこにさらに、健康効果とおいしさを兼ねそなえたこめ油も、ぜひ仲間入りさせましょう。
これからは、むやみに油脂を「とり除く」のではなく、上手に選んで適度に「取り入れる」という発想で毎日の献立を考え、おいしい健康生活を実践していただきたいと思います。
目 次 —— 第1章 コメ油とはどういう油か ・日本で唯一、国産原料を使った植物油 ・ポテトチップスのおいしさの秘密 ・全国の学校給食の4割以上に採用 〈コラム〉こめ油に関するQ&A1 第2章 効果を生みだす有効成分 ・効果の主柱は3つの「不ケン化物」 ・天然の抗酸化剤「ビタミンE」も豊富 ・「脂肪酸」の含有バランスも理想的 〈コラム〉こめ油に関するQ&A2 第3章 こんな症状にこめ油を ・高コレステロール血症の予防と改善 ・心筋梗塞や脳卒中の予防に最適 ・ガンの発生を抑えるうえでも有効 ・糖尿病の食事療法におすすめ ・美肌づくりにも大きく貢献 〈コラム〉こめ油に関するQ&A3 第4章 こめ油のおいしい利用法 ・サラッと軽くておいしいのが魅力 ・加熱に強く、油酔いしにくい ・おいしくて栄養満点の「こめ油レシピ」 【ハート出版ふるさと文庫】こめ油は体に優しくおいしさと栄養満点